コイルQ測定の予備実験

ダイポールアンテナのベースローディング兼マッチングコイルは、どれぐらいのQが必要か知りたくて、MMANAに入力するQ値を変えながらシミュレーションしてみた。その結果、21MHzでは、Q≧50ならQ値がいくつだろうともはやアンテナ特性は変わらず、それ以下だとQ値が低いほど影響が大きくなることがわかった。

自作のコイルのQ値が知りたい。まずは、FCZ研究所「CirQ」2005/12 3ページの方法で、Qの測定を試してみた。 コイル大、小ともにQ=33という計算になった。測定結果の妥当性はこれから検討して、使えそうならハンダ付けした基板に仕上げよう。

写真(左)が測定風景。写真(中)は共振点、写真(右)は-3dB点。使用機材 MFJ-269、PicoScope 3206A

フェライトコアの阻止性能の簡易判定

QST 2012/2 66ページに、フェライトコア/トロイダルコアの阻止性能を簡単に調べるTIPSが載ってたので、さっそくやってみた。50Ω抵抗とコアで巻いた線を並列にアンテナアナライザMFJ-269につなぐ。コアの阻止効果が大きければ、SWRが1に近くRが50オームに近づく。阻止性能が低いとSWRが大きく、Rがゼロに近づくというもの。

試してみたコアは3つ(写真上左)。写真上中は電線オープン、写真上右は電線ショート、写真下はコアありで測定中。いずれもコアに3回巻、抵抗は51Ω、約3.5MHzと約21MHで測定した。

 

 

 

 

 

 

 

コア 約3.5MHz 約21MHz
SWR R(Ω) SWR R(Ω)
コアなし(電線オープン) 1.0 49 1.0 50
コアなし(電線ショート) >31 0 3.5 20
TDK NF-C09 左上のコア 1.1 46 1.1 48
エレコム NF-02LG 右上のコア 1.1 46 1.1 47
ブランド不明 小 下のコア 1.3 41 1.2 45

 

 

3.5MHzについては阻止性能を測れているように見えるが、21MHzは電線ショートでのSWR/Rの値が異常なので測定以前の問題である。全体的に測定の信頼性を要検討。

XR2206正弦波の歪み率調整

秋月ファンクションジェネレータキットが使っているXR2206の正弦波歪み率は、無調整時<2.5%、調整回路付加で0.5%となっている。秋月キットには調整用半固定抵抗がついているので調整可能だ。PCオシロPicoScope3206Aの慣熟も兼ねて調整してみた。

今回は、歪み率そのものを測るのではなく、スペアナで見ながら高調波成分が少なくなるように半固定抵抗を回す簡易な方法。やってみたところ、歪み率を本格的に追い込むにはこの半固定抵抗では無理で、ポテンショメーターなど微妙に抵抗値を変えられる部品が必要だろう。

オシロ画面は下記。左は調整前後の波形(前が左、後が右)。前はピークの波形崩れが目で見てわかる。中は調整前のスペアナ画像、右は調整後のスペアナ画像。

 成分  調整前 強度  調整後 強度  差
 基本波 約1kHz  -14dBu  -14dBu  0dB
 2倍高調波  -55dBu  -67dBu  -12dB
 3倍高調波  -49dBu  -61dBu  -12dB
 4倍高調波  -63dBu  -85dBu  -22dB
 5倍高調波  -62dBu  -58dBu  +4dB

スペアナ画像を見ると高調波レベルが下がっているのは一目瞭然なので歪み率は下がったと思うが、成果についての定量評価はしていない。

アンテナ線・電線用の低抵抗測定

自作した低抵抗測定器で、手持ちの線材を測ってみる。測ったのは、これら。

  • ダイソー アルミ線 約1mm
  • ダイソー アルミ線 約1.5mm
  • ダイソー 鉄線 約0.55mm
  • DAIDOHANT アルミ線 2.0mm
  • DAIDOHANT 銅線 約0.9mm
  • ブランド不明 VVF 1.6mm 1999年製と刻印あり
  • 愛三 CAT5

 

ダイソーは商品パッケージに「」付きで太さを表示していて、正直というか最初から弱気(笑) DAIDOHANTはカインズホームで買ったもの。

1mちょっとの長さをほどいて低抵抗測定器に取り付けて計測。切る必要はないので、測った後に巻き戻せばムダにならない。

こちらが測定結果一覧。

 

導電率は高純度品の値(出典 Wikipedia)、線径はノギス(誤差0.05mm)で計測、電圧/電流は誤差0.5%・有効3.5桁。

結論から言うと、今回測ったダイソー、DAIDOHANTの線材の抵抗値は理論値と大差なく、つまりは一定の品質の銅/アルミ/鉄を使っていると言えそう。ロット違いでのバラ付きが大きいかもしれないので、買ってきた都度測って使えばよいだろう。

問題は、ブランド不明VVF1.6mmの線径が1.45mmだったことだ。ノギスの精度からして、±0.05mmまでは誤差だが、それを大きく外れているので、間違いなく細い。なぜ細いのかの原因究明をしないといけない。このVVFでコイルを巻くと、計算値に比べて計測インダクタンスが小さく出るような気がしていたが、線径の問題だったのだろうか?

アンテナ線・電線用の低抵抗測定器製作

「100円ショップの針金は粗悪品」というネットの書き込みを見かけた。気になってググったところ、電線や素材メーカーなどが「電線と縛る用途で組成が異なる(ことがある)」「アルミの場合、精製度によって抵抗値がかなり異なるので電線に使うなら要注意」と説明している。

当局もアンテナ線に100円ショップのアルミ線や、ホームセンターの電線用ではないアルミ/銅線を使っているので実際のところが気になる。それなら測ってみようではないか! ついでに、アンテナのローディングコイルを作る際に線材の抵抗値が明確なら、計算でインダクタンス(インピーダンス)を正確に求めておける。これら用途のために低抵抗測定器をひとつ作っておく価値がありそうだ。

で、作ったのは4線式の低抵抗測定器。長さ1m強の線に電流を流し、1mちょうどの2点間の電圧を測る。オームの法則により、抵抗=電圧/電流がわかるというもの。

 

全体はこんな感じ。主要なパーツは、電源(13.8V)、電流制限抵抗(セメント抵抗8.2Ω 20W)、電流計(テスター)、電圧計(テスター)。効率よく測定するために、1.2mの棒にボルト/ナットで抵抗と測定用電線を取り付けられるようにした。

 

左側の拡大図。セメント抵抗は長時間通電すると触れないほど発熱するので、浮かして放熱している。右の赤テストピンは電圧計に行く線。ゼロmm点を示す線を木にマークしておく。

この仕様だと最大21.8Wの電力になるので発熱に注意しつつ測ること。通電しっぱなしにするなら、余裕をみて40W以上の抵抗が必要。

 

 

右側の拡大図。太い黒線は測定用電線を流れてきた電流の戻り。黒テストピンは電圧計に行く線。1000mm点を示す線を木にマークしておく。

 

 

 

 

 

測定中。左が電流計で1.62A。右が電圧計で 57.5mV。抵抗=57.5mV/1.62A=0.0355Ω

測定編に続く

オシロプローブのキャリブレーション

PicoScope3206Aを買ったのだが、使い始めるまでプローブのキャリブレーション信号端子が付いていないことに気が付かなかった。サイトのFAQなどを見ると外部信号源でキャリブレせよとのこと。まあ安いオシロだから、そんなものなのだろう。購入を検討中の方はご注意を。

で、秋月のXR2206ファンクションジェネレータキットで調整してみた。このキットはいろいろな実験や測定に活用できて便利。

左が測定中。電源系のノイズ混入を避けるため電池で駆動している。右がオシロ画面。下辺のノイズはデスクトップPCから回り込んでいるものと推測。ノートPCを電池駆動してノイズを減らせるか確かめる予定。

2012/10/3追記

PicoScopeのFG/AWG機能を使うと外部信号源なしでプロープの較正ができる。3206Aはもちろん、現在のPicoScopeの多くの機種が対応している。詳しくはこちら